2013.04.22 八幡の職人

営業・散歩・物件撮影、そして発見

左官屋の見習い時代、自分がたずさわった仕事の

完成形を見ることのないまま現場をあとにする。

ということは度々であった。

というのも最初の準備、養生や下地までは行っていても

仕上げ工程はベテランの職人さんが行くので

手元のサポートはいらない!という理由が大半。

また外部の塗り仕上げに至っては、

足場が撤去されるまでは全貌をうかがい知ることがない。

なんともスッキリしないものであったが仕方がないとあきらめていた。

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いまは、営業で近所に来ていてちょっと時間の空いたスキや

新しい現場に調査や打合せに行った折、通りがかった際に、

見逃していた件の完成物件を確認しに行くのである。

用賀のお屋敷、ここは吹付け塗装のモルタル下地を弊社が担当。

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きれいな仕上がりでよかった。

実際のところ、完成した家はその瞬間から住むお施主さんのもの。

・・・・・であるのは当然であろうが、

左官屋としてこのお家にかかわった私は、何度も現場と会社を往復し、

足場の上を重たい材料を持って登り降り・・・と頑張っていたな?という思いから

たとえ下地までの工事であろうが、

なんだか少しばかり自分の(かかわった)作品のような気持ちがある。

きっと大工さんには大工さんの、監督には監督の、

石屋さん、タイル屋さん、ガラス屋さん、塗装屋さん、・・・・

口には出さないがみんなきっと心の隅ではそう思っているのちがいない。

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ここはジョリパットの櫛引き仕上げの現場。

今は洗濯ものも干されていてヒトの生活が息づいている。

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重なり合う面は互いに櫛引が縦横になうように

構成されている、なかなか複雑な仕事であった。

図面ではわかりにくいこともあり、タテ線とヨコ線が描かれた建築模型を渡され

それを確認しながらの仕上げ作業。


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足場とともにおおわれていたシートがなくなって、

さらに外構工事や植栽などがすべて整い、

設計士・建築家の意図が具現化する。

なるほど???こうだったのか。と解る。

この町のすべての家は名も知らぬ大勢の職人たちの手によって作られ、

お客さまに手わたされているのである。


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帰り道、自分がかかわってはいない新しい建物を発見。

おもしろい発想、シンプルだが味がある家。

撮影しながらの住宅散歩は楽しい。

独特の建築はお風呂屋さん

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全体もいいが、細かいディテールも気になる。

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自然と古いものに目がいく。

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塗装の剥がれ

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色違いのふしぎな壁 (洗い出し?)

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朽ちた板戸、塗り重ねがいい。

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意図しない自然な落書きはアートにも見える。

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こういう鉄さびと塗装の剥がれに心惹かれるのはなぜ。

エイジングされた壁、唯一無二の造形美。

こんな自然な壁を作りたいものだ・・・・とふと思う。

さあ、今日はここまで、帰って仕事にもどろう。



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