2010.10.01 八幡の職人

左官屋として。

こんにちは。 『1の書簡』久しぶりの更新です。  ”暑かった” いやいや ”暑すぎた” 今年の夏もようやく終わったようでここ最近はだいぶ暑さが和らぎ、秋らしくなってきました。
しばらくは過ごしやすい日々が続きそうなので、仕事の効率化アップも期待が持てそうです。 がんばらねば。

さてさて、今回のブログはお風呂場のタイル下地施工の様子です。 タイル下地施工は左官の真髄ともいえる『壁を平らに仕上げる』というテクニックを要するとても難易度の高い作業でございます。
とくにお風呂場のタイル下地施工ともなれば狭い空間となるので垂直、水平が少しでもくるってくると非常に目に付きます。(タイルの目地がダンダン広くなったりだとか・・・。) またタイル下地施工後にいろいろな器具が据えつけられるのため壁が平らに仕上がっていないと器具と壁との間に隙間ができたりしてしまいます。  お風呂場は湯船につかって「ぼー」っとしながらあたりをグルグルなんてことをしがちなので?アラ″を見つけやすい場所でもあると思います。 (トイレなんかもそうです。)  なのでなおさら正確な作業が必要となってくるのです。?? もっとも今はユニットバスが主流となりお風呂場の左官作業はめっきりなくなってきましたが・・・。 残念。

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今回は八幡工業にとっては珍しい野丁場工事の現場。(ビル、マンションなどの大工事現場)

この建物内にお風呂ばがなんと20か所。 気が遠くなります。

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この現場では『デラクリート』というひび割れに強いボードがコンクリートの躯体に胴縁を挟んで貼ってありその上に専用下地材の『ベースコート』で目地処理をし、乾燥後に全面塗り及び耐アルカリネット伏せ込み作業を行いタイル下地とします。 塗り厚は5ミリ以上が基準です。

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左官では平らな壁を作るために、壁の四方向に塗り厚分の墨(ライン)を出し、その四方向に出した墨を上下、左右に糸で結び糸の交差したところに塗り厚の基準となる”あたり”を適切な間隔でいくつか設けます。 この”あたり”を設けることで塗ったり、定木で削ったりの作業がしやすくなり、平らな壁を作りやすくなるのです。  このあたりが狂っていると平らな壁を作ることはもちろんできません。 大切な作業です。

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一言で左官と言ってもいろいろな作業があります。しかしながら左官屋とは『壁を平らに仕上げる』という作業をこなせて?一人前″なのだと僕は思います。 「平らな壁をいかに早く作れるか。」 このことが左官の基本であり、一番大切なカテゴリーだと思います。 『平らな壁を作る』という表現の中には左官屋となるために必要な要素がたくさん詰まっていますから・・・。   平らな壁を作り、その美しさを知ってはじめて、綺麗な壁の模様を作れたり、かっこいい造形壁が作れたりするんだと思うんです。

「壁に模様をつけたい!」 や 「造形がやってみたい!」などと言って左官の基本をおろそかにしてそちらに専念する人が最近増えてきてるような気がしますが、そんな人が作る”壁”は本当に美しく、繊細で、奥深いものなのでしょうか?   左官屋として壁塗りの基本を忘れてはいけませんね。

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