2010.05.26 八幡の職人

久住章さんの「鏝の話」    

只今左官修行中・斎藤です。

日曜日、かねてから楽しみにしていた漆喰・土壁 技術講習会に参加してきました。

講師は、日本を代表するカリスマ左官職人、久住章(くすみ あきら)氏。

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あいにくの雨模様でしたが、会場となる東中野の富沢建材には

各地からなんと!160人もの人が集まりました。

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職人さんだけでなく学生さんらしき女の子たちも大勢、

知った顔もちらほら、なつかしい左官学校の仲間や先生方ともおよそ一年ぶりの再会!

お互い「左官がんばってる!!?」と笑顔で挨拶。

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*一緒に行った八幡工業のイサオさんと、足立校の綿引先生。
実は同郷・茨城県人のご対面!。

さて、今回の久住さんはおもに土壁を塗るための鏝道具について

自身が修行した京都や大阪のお話を中心に4時間たっぷりの講義。

途中、実演もまじえながら「じゅらく壁」の水捏ね、切り返し、磨きに至る

各段階の材料の調合、それに伴う鏝の扱いとポイントを説明。

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科学的に「鏝」という金属の硬度と、材料の特性との関係を話すさまは職人というより

研究者か学者さんのようでもありました。

職人かけだしの私にとっては、あまりにも奥の深い難しい話なのですが、

久住さんのほんわかとした関西弁が心地よくとても勉強になりました。

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いや?しかし、鏝の話を1人で4?5時間も話せる人は他にはいませんね。

書院や茶室の文化が根付く関西とちがって、

残念ながら関東ではめったに土壁しごとは縁がないのですが、

八幡工業で力を入れている漆喰仕事には大いに参考になることがありました。

お話の中で特に心に残ったことがらとして、

京都の左官の名匠数人の自慢の鏝を借りて、鏝鍛冶屋さんとともに

「なぜこの鏝が、美しい壁を作り出すのか?」を検証した話。

鏝鍛冶さんの目からすれば不思議だったようだが、

長年使い込んで磨り減っている鏝だからこそ、手になじみと効率よく塗ることができる。

その影には「土」と「スサ(関東ではツタ)」と「のり」のバランスの違いが関係している・・・
という話。

もとめる土壁の仕上がりのテクスチャー(肌)によって、5人職人がいたら

5人みんな異なる調合をしていて、結果、使う道具の形状や選択もことなる!

ですから『左官にはこれが一番正しい!というものは無く、職人それぞれが

見つけていってください!!!!』というお言葉。

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当日は、鏝鍛冶の方々や左官道具屋さんらも大勢参加しておられ、

遠くは本場「兵庫県三木市」のスギタさん、カネシカさんなど、

多種多様な鏝、道具類の展示販売も行われていて、見るだけでも楽しかったです。

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様々な建築賞に輝く久住さん、次の時代に左官を継承すべく

職人、建築家、鏝鍛冶、材料メーカーらをつなぎ

日々熱く奮闘している!!

自分もがんばらなくては。

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