2013.03.13 八幡の職人

石灰の故郷をたずねて

本日は社長、専務とともに石灰の勉強をしに栃木県にいってまいりました。

左官屋にとっては日常的にさわっている漆喰の原料である石灰(せっかい)。

日本各地に点在していて、土佐、琉球などのご当地漆喰が有名ですが、

東京から一番近い石灰の産地、それは栃木県の葛生(くずう)。

まえまえから一度は石灰の採れる山やプラントなどを見たいと思っていましたが、

願いがかない、この日、石灰の故郷をたずねたのです。

まず向かったのは山。

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これ、古代の海底のサンゴ礁。

大地の隆起によって地上にできたこの山こそが石灰の土壌なのです。

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発破をかけてこの山から切り出された石。

サンゴやウミユリなどの化石がはっきりそれとわかります。

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フズリナ(紡錘虫)の化石を含んだ石灰岩。

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工場はかっこいい。

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粉砕されて出てきた石たち。

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それを焼成したら、原料の消石灰になるのだ。

日本の漆喰はこれを粉にしたものに、

消石灰と麻すさ、粉末海藻のり、炭酸カルシウムなどの微骨材が配合され、

水をくわえて練り上げたもの。

葛生で採れる 【石灰】、そのうち左官材料の漆喰になるのはホンの少し。

その大半は、鉄鋼の焼成に使うため千葉の製鉄所などに運ばれていくそうです。

そのほかの使い道は土壌改良剤、ガラスの原料、顔料の素材など・・・

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近くの山、ここでは石灰からセメントの原料が作られている。

現場でおなじみのセメントの袋、ここから運ばれてきたんだ??!と実感。

広大な風景になんとも「工場萌え」しますな??。

日本には採掘しやすい場所に高品位の石灰岩が大量に存在しており、

実は石灰岩は数少ない国内で自給可能な鉱物資源なのです。

葛生ではおよそ400年前から産出されていて、

今後も数百年分の埋蔵量があるそうです。

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さて、葛生で有名なのは「そば」。

なんでも痩せた土地でも元気に育つのは蕎麦の実。

で、昔からそばが大事にされてきて、今や蕎麦打ち集落まであるそうな。

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なかでも名店中の名店、そば処「かみやま」。

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山菜の天ぷらと、5合のそば。

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じつにおいしゅうございました。

食後は、町中に点在するフレスコ画の見学へ。

まずは、栃木県石灰工業会館、外壁を飾る作品

【?フレスコ画

フレスコは、まず壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態で、

つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。

やり直しが効かないため、高度な計画と技術力を必要とする。

失敗した場合は漆喰をかき落とし、やり直すほかはない。・・・という古代ローマから続く絵画技法。

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ポイントは、漆喰が乾ききる前に描き上げなくてはならない為描けるだけの範囲に漆喰を塗ります。

だからものすごい時間と気力を必要とする作業。

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壁と一体化された作品のため、

フレスコはアトリエで描いて現場に持ってきて貼り付け!というわけにはいかないのです。

高い場所は、足場の上にのぼったまま完成までひたすら頑張るしかないのです。

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中の展示室にも巨大な壁画が!

葛生町・佐野市・栃木市の町並みを細かく描いた大作。

完成まで数か月かかったそうです。

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フレスコ画の制作工程

http://www1.ocn.ne.jp/~lime2000/90s/furesukomatinami.html

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交番の壁にもかわいいフレスコ。

これも時間かかったんだろうな???。

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そして、

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圧巻はここ、葛生伝承館の側面のフレスコ壁画。

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20メートルはあるかと思う、横長の大絵巻。

二人の画家さんの共作。とにかく細かい。

FLESKO

鳳凰、龍、そして佐野ラーメンに、みみうどん!?

見れば見るほど発見と驚きで面白い、あきない、楽しい!!!

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いま、半分をすこしかけるくらまで仕上がっていました。

平成18年からはじめられたプロジェクト、完成は平成37年頃とのこと。

制作の歩みはこちら、

http://www.city.sano.lg.jp/densyoukan/index4.htm

10年後の完成が待ち遠しいです。

作家のおふたりがんばってください!!

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最後は今回の旅を案内してくださった、この町の名士の会社玄関にある大壁画!!

芸大の先生に依頼して作ってもらったというフレスコ、タイトルは「大樹朝暘」。

この土地に根付き、日が昇るように繁栄するようにとの祈りをこめた物語。

残念ながらここでは詳しいことは言えませんが、

ほんとうに一日ご案内いただき大変ありがとうございました。

この場をかりてお礼を申し上げます。

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漆喰の源、石灰に触れることのできた この貴重な体験は、

まちがいなく今後の仕事、制作の糧となることでしょう。

しっくいばんざい!!!!! 大謝。

左官マニア、漆喰応援団・斎藤のレポートでした。















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