元町公園 左官改修工事レポート|歴史と技術が息づく現場から
現在、八幡工業では文京区本郷にある「元町公園」の改修工事に左官職として携わっています。
*2025年 8月 施工中のカスケード 階段
本工事は、1980年代以来約40年ぶりとなる大規模改修。
歴史ある公園の景観と機能を未来へとつなぐ、重要なプロジェクトです。
🕰 元町公園の歴史と意義
元町公園は1930年に開設された、文京区本郷の中心に位置する小公園です。
震災や戦災の被害を受けなかった数少ない「復興小公園」として、当時の都市計画の面影を今に伝えています。
- 所在地:文京区本郷1-1
- 面積:3,520㎡
今回の改修では、歴史性の継承に配慮しながら、憩いの場としての機能を高める整備が進められています。
また、隣接する旧元町小学校跡地との一体的な活用も計画されており、防災トイレや資材収納ベンチなど、防災機能の強化も図られています。
*開園 昭和5年1月12日 の銘板 (今年で95年!)
🧱 左官職人の挑戦|欧風モダンの再現
元町公園には、開設当初から残る壁泉やカスケード、鳥のオブジェなど、
造形的で欧風モダンな意匠が随所に見られます。
*2023年 現地調査の様子
中でも、当時の最先端技術で仕上げられた「モルタル色石の洗い出し」は、
左官職人の腕の見せ所。
*2025年 修復中モルタル下地の様子(上下の大谷石は石工さんが設置)
しかし、40年近くの歳月と気候変動、酸性雨の影響により、劣化が進んだ部分も多く、
文化財修復に近い繊細な作業が求められています。
当時の資料をもとに現地調査を重ね、現在入手可能な資材を用いて、
どこまで当時の仕上がりに近づけられるか!!
——左官の技術と知見が試される現場です。
取り寄せた石を現地に持っていき見比べています
各施設の色に合わせて調合を検討すべく、サンプルを作成
膨大な量のサンプルを作成・提出しました。
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🛠 施工手順と進捗状況
左官工事は2025年4月に着工し、年内の完成を目指して進行中です。
以下の手順で施工を行っています。
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劣化部のケレン・剥離作業
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高圧洗浄による下地清掃
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モルタルによる下地補修
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仕上げ塗り・色石洗い出し仕上げ
細部にわたる丁寧な作業を通じて、
元町公園の美しさと歴史を未来へとつなぐ左官の力を、
ぜひ感じていただければと思います。
*before (劣化が進行しています)
*補修のための塗り付け作業の八幡社長!!
*洗い出し仕上げの様子
*今回のために作成した 型枠
*before 補修前:パーゴラの柱
*施工中 (ベニヤ板の型枠に注目!!)
*倉庫で柱型の型枠を作る
型枠作りは大学で建築を勉強した中村君が担当してくれました。
*型枠が外されて 洗い出しする長塚さん
一本の柱が完成するまで数日かかります。
*仕上がった 優美なデザインの丸い柱の上部
高台から望む 風景
高層ビルの方向には 神田川
お茶の水駅、水道橋駅 どちらからも歩いて数分の距離です。
*捏ね場にて、中村君、技能実習生の サルマ君とワヤン君
みんないい笑顔で働いています。
造形チーム 谷さんも笑顔で作業中
谷さんは、鳥のオブジェのほぼ実寸サイズ模型も作っています。
実物が完成したら 公園で見つけてくださいね!!
造形チームの石井さんは擬石の壁面を担当。
このようなモルタル造形も各所で見ることができます。
*工事前(往時の姿をとどめています)
*2025年 8月現在 整備中 (工事中につき 入場はできません)
広大な公園に様々な施設があるため、完成はまだまだ先です。
公開したあかつきには、細部にわたる丁寧な作業を通じて、
元町公園の美しさと歴史を未来へとつなぐ左官の力を、ぜひ感じていただければと思います。
作業のつづきは折を見てご報告しますのでお楽しみに!
ヤワタコウギョウ・斎藤のレポートでした。